全長調整式車高調整機構の特徴と注意点

全長調整式車高調の車高調整は、シェルケースの長さを変えることで行います。【写真6、写真7】この方法では、車高を下げても(シェルケースを短くしても)、ストローク量が変わらないため、乗り心地の変化を最小限に、気に入ったスタイルを実現することができます。 しかしシェルケースの長さを短くしすぎると、危険を伴います。ショックアブソーバがフルバンプする前に、タイヤがフェンダーに激しく干渉したり、アッパーアームがボディに激突したりしてしまいます。【図8】

ボディとアームが干渉してしまっては、それ以上ストロークすることが出来ず、スプリング・ショックアブソーバとしての本来の役割が果たせません。ストロークできなくなったサスペンションには、ショックを吸収する働きは無くなり、大きな衝撃と干渉音を伴うだけでなく、正常なステアリング操作が妨げられたり、急激にタイヤのグリップを失ったりするなど、車として非常に危険な状態となります。そのような危険を回避するために、テインの全長調整式アイテムの取扱説明書には、ケース長の調整範囲が記載されております。必ずこの範囲内で安全をご確認の上ご使用ください。

また、全長調整式のブラケットロックは、シートロックよりも規定トルクが高く設定されています。そのためシートロックと同じトルクで締め付けを行った場合、トルク不足が原因でロアブラケットの緩みが生じる事例が多数あります。緩みが生じている場合は、異音が発生するだけでなく、最悪の場合、ロアブラケットの脱落等につながり、大変危険です。製品の取付けに際しては、必ず取扱説明書を参照し、規定トルクにて締め付けをお願い致します。たま定期的にブラケットロック・シートロックに緩みが無いか確認し、規定トルクにて締め付けをお願い致します。

テインの車高調は、製品出荷時、好みの車高に調整しやすいよう、シートロック・ブラケットロックともに、仮締めの状態で出荷しております。ご注意の上、取付け時は、規定トルクにて締め付けをお願い致します。 なおブラケットロックの規定トルクは、手で締め切ったところから、角度にしておおよそ、20~30度締め付けた位置が目安になります。またストラットタイプは、ハンドルを切るとタイヤの動きに合わせてショックアブソーバも回転するサスペンションの特徴上、ロアブラケットに緩みが生じ易いので、締め付けのトルクにもかなり強い力が必要となります。今一度取扱説明書をご確認の上、規定トルクでの締め付けを宜しくお願い致します。