中国国内選手権（China Rally Championship）は、海の向こうの中華人民共和国で年間5~6戦開催される中国国内のラリー選手権である。ラリー形態はWRC同等のものであり、盛大なスタート、ゴールのセレモニー、5速全開のスペシャルステージと中々本格的である。

参加しているチームは、中国各地の自動車メーカー系がメインであるが、ドライバーは地元の中国人ドライバーだけではなく、遠くはイギリス、フィンランド、オーストラリアを始め、近隣のマレーシア、台湾、そして日本と多彩な顔ぶれである。

タイヤ、オイル、ショックアブソーバー等のパーツメーカーも世界各国から入り乱れ、車両においては、ランサー、インプレッサが主力であるものの、日本では見た事の無い中国国内メーカーのモデルもあり、さしずめミニPWRCといった様相を呈している。

テインでは、スバルラリーチームチャイナの2台のインプレッサGDBの15号車 鎌田卓麻／市野諮組と、28号車　ルー・ニンジュン／へー・ヨン組に、Gr-Nダンパーを装着しサポートする。

エントリー総数は75台

今回はその第一戦、中国中東部の黄海沿岸にある上海市近郊金山区の農村を舞台に行われた。

中国特有の曇天のもと杭州湾に面した沙排場地と呼ばれる（？）海浜公園を15時にスタートしたラリーカーは、そのままパルクフェルメへと向かう。

この日のスペシャルステージは、SS1､3､5の松牌路（10.2km）とSS2,4､6の八字村（13.5km）を3回づつアタックする。

今回のSSは、距離は短めだが菜の花畑の中の碁盤の目のようなガレた農道の直線と直角コーナー、舗装したての一般道のミックスであり、農道の途中には農業用水路を跨ぐ橋が強烈なジャンプ台と化している。そして最悪な事に農道の道幅は１．２車線！！

チームは、経験不足から事前の準備が間に合わず、テストもパーツも不足ぎみという辛い状況でのラリー参戦だった。そのため、車両のマイナートラブルもあり、かなり抑えながら、探るように走り出したものの、マイナートラブルが元で右側面を電柱にヒットさせるなど、波乱万丈のスタートとなった。しかし、例のジャンプだけは見事にクリアできた！

それもそのはず、今回テインが投入したショックアブソーバーには、昨年のPWRCで培った様々な技術が投入されている。

M.S.V.（Micro Speed Valve）によりガレた農道での追従性と、H.B.S（Hydro Bump Stopper）で大ジャンプの着地時の安定性が両立されている。

今日のスペシャルステージは、SS8､10の松駿路（9.5km）とSS7,9の建農村（13.5km）を2回づつアタックする。

昨日よりペースも上がり大ジャンプも悠々クリア。

橋を越えた道の両側には、着地で姿勢を乱した車両が道からこぼれるように、両脇の菜の花畑に何台も転がっている。やはり、ラリーにおけるショックアブソーバーの威力は絶大だ。

コドライバーの市野選手も「オレの32年間のナビ歴で一番優秀なショックアブソーバーだっ！」と興奮ぎみに話していた。

順位のほうは、気が付けば総合3番手！少しでも順位を上げるべく果敢に攻めたいところであったが、チームから「絶対完走！！」の指令が出ている。マフラーにも穴があき、エンジンのトルクも落ちている事から慎重にゴールを目指した。

チームの成長とクルーのステディーな走りが導き出した総合3位、つかの間の休息を挟み次戦７月末の貴酬では更なる上位を目指したい。