ラリーポーランドは、ポーランドラリー選手権とヨーロッパラリー選手権のダブルタイトルが掛かっている。1921年の初開催から、途中2度の大戦で休止期間を経たものの、今年で63回を数える世界で2番目に古いラリーイベントである。
そのエリアは、東欧はポーランドの北部、ロシア国境まで約100kmの丘陵地帯ミコライキで行われる。丘陵地帯とは言え、その谷間には小さな湖が幾つもあり、さしずめ湖水地方と言ったところである。
コースは、幅1.2〜2車線程度のスムースグラベルだが、表面には細かな砂が多く、砂が掃けるとこぶし大の石がゴロゴロと出てくる。そして鋭角的な発射台のジャンプも多い。
今回のテインユーザーは、スバルポーランドラリーチームのインプレッサGDB‐F、ゼッケン1号車 レシェック・クザイ/マシェック・シュチェパニャック組である。このクルーはP-WRCでもおなじみのテインユーザーであり、P-WRCで体感したテインGr.Nダンパーの性能から今回のサポートへと繋がった。
6月8日(金) プライベートテスト
スバルポーランドラリーチームを率いるクザイ選手は、若手の育成にも余念がない。自分のテストもそこそこに、若手の走りを詳しくチェックしていた。テストは午後7時より開始された。東欧の陽は午後9時半を過ぎて漸く傾く。
6月9日(金) シェイクダウンテスト、スターティングセレモニー
クザイ選手は、昨日、自身が走りこまなかった鬱憤を晴らすかのように積極的にテストを行った。細部の詰めに時間をかける。ジャンプからの着地は本当に素晴らしく、何事もなかったかのように、車は次のアクションへとドライバーの意のままに操られて行った。
その後、ミコライキ中心部にてセレモニアルスタートが行われた。
6月10日(土)レグ1(SS1〜6)
今日のスタートは朝8時である。SS1~3のトップは、ランサーに乗るソロボブ組であった。ゼッケン1番のクザイ組はコースのクリーニング係と化すも、幾つかのSSではトップタイムを叩き出し6.9秒差の2位でトップを伺う。そして、3位のスベロルンド組も僅差で付けており接戦が続いている。
この日、クザイ選手は信じられないようなジャンプをした。「170km全開からジャンプしたんだ、始めのうちは空しか見えなくて、暫くしてから何事もなかったように、ピタッと着地してまた全開だよ!」こんな走りを支えるテインサスペンションを見守るエンジニアは、若干の冷や汗を覚えた。
6月11日(日)レグ2(SS7〜12)
昨日からのプレッシャーと、今日のクザイ車の走りに耐え切れなかったのか、ソロボブ組は、いくつかのコーナーで曲がりきれずにエスケープロードに飛び込んだり、ラインを間違えパンクさせたりと自滅。SSトップタイムも勿論だが、悠々とトップに立ったクザイ組は2位との差を見ながらのラリーとなった。しかし、そのアグレッシブな走りは変わらない。コドライバー(ナビ)のシュチュパニャック選手曰く、「ジャンプの後の50m先で左に曲がるところがあったけど、着地したあと曲がれるかどうか心配なほどのスピードでジャンプしたよ、でもテインの足は着地で何事もなく、スパッと車を左コーナーへと導いてくれたよ。」と、クザイ選手のアグレッシブさに加え、テインダンパーを高く評価してくれた。
こうして、無事ゴールにたどり着いたクザイ組はたくさんの観客からの祝福を受けた。
また、昨日のレグ1でクザイ選手が面倒を見ている若手の1台がサスペンションを壊したところ、クザイ選手が自身のスペアを貸したいと申し出て来た。サポートするテインとしては、クザイ選手が自分のスペアがなくても良いと言う一言でサポートした。この選手は、ターボのトラブルも併発していたため、成績には結びつかなかったが、ジャンプ後の着地の良さは充分体感したようであった。
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