中国国内選手権(China Rally Championship)第3戦は、中国中西部貴州の街「開阳(Kaiyang)」を中心に行われた。前回の六磐水(Riupanshui)とは、貴阳(Guiyang)を挟んでちょうど反対の東側にある。
ここ開阳は、低層の山並みが続いており、その山肌をトレースするステージは、ストレートの多いハイスピードセクションが7割を占める。そして、路面は固く締まった土の上に石ころが敷かれているようなスリッピーなステージであるが、所によっては、通過台数が増えるにつれ路面が磨かれ黒光りするほどだ。また、ツイスティーなステージは、通常であれば切り通しを作るような所に無理やり道を付けたようで、獣道がそのままグラベルコースになったようなものだ。
今回のテインユーザーは、スバルラリーチームチャイナの2台のインプレッサ(GDBF)、15号車 鎌田卓麻/市野諮組と、30号車 李徴/鄭筅組と、前回からサポートしているランサー(CT9A)、台湾の映画俳優=林志穎が率いるジミーレーシングの25号車 林志穎/李佳組、万宇ラリーチームの17号車 デビッド・ヒギンズ/イーエン・トーマス組、18号車 ユハ・サロ/ミカ・ステンベルグ組である。
また、サービスパークは、ラリースタート直前の木曜日まで貴阳、スタート以降は開阳へ移動する変則的なラリーであった。 そして、今回も中国選手権は大盛況となりエントリー総数は、なんと91台!
9月19日(火) プライベートテスト
9月も半ばを過ぎたせいか茹だるような暑さは影を潜め、日中こそ30度を越えるものの朝晩は涼しい。とはいえ、テストは日中の炎天下であり、ラリーカーの捲くし立てる砂埃が汗ばんだ肌に纏わりつく。
各チームによって貴阳周辺の林道や農道を封鎖しプライベートテストを行った。CT9Aのランサー勢は、チーム母体が同一なため今回も3台でテストを行い、さらにインプルーブされたテインGr.Nダンパーを順調にセットアップしていった。
スバルラリーチームでは、30号車 李徴/鄭筅組の燃料タンクにトラブルが見つかり、15号車 鎌田卓麻/市野諮組のみで他チームとの合同テストに臨んだ。ところが、スバルラリーチームの参加した合同テストのステージは、今回もセキュリティーが確保されておらず、アタック中に洗濯籠を抱えたおばさんや、バイクの若者とすれ違う。このような状況では、前回、六磐水(Riupanshui)での二の舞になりかねないと判断し、満足なテストが行えないにもかかわらず、安全を優先し早々に切り上げることとなった。
9月22日(金) セレモニアルスタート&SS1
13:45貴阳市中心部でのスターティングセレモニーを終え、14:33同市内の吉源汽車公園でSS1が行われ、パルクフェルメへと向かった。
このSS1は、2km足らずのジムカーナとダートトライアルをミックスしたようなコースであったが、17号車 デビッド・ヒギンズ/イーエン・トーマス組が2位を1.2秒引き離しトップ。15号車 鎌田卓麻/市野諮組は、2位と0.1秒差の3位で終えた。
9月23日(土) レグ1
この日のスペシャルステージは、SS2、4の瓜瓢岩(15.68km)とSS3、5の南江(22.55km)である。
開始早々のSS2では15号車 鎌田卓麻/市野諮組が、ブッチギリのトップタイムをマークした。鎌田組の本領発揮である。今回の彼らの車両は、7月のラリー北海道で使用したものである。全てが揃い、本気で走ればこの程度の走りは朝飯前(?)のようだ。
いよいよ、テインユーザーによるトップ争いが始まった。
が、しかし! この調子で行かせてくれないのがラリーの難しいところ。次のSS3では、ゴールまで7kmを残したあたりで鎌田車の左のリアタイヤがパンク!順位を落としてしまう。
また、昨日トップの17号車 デビッド・ヒギンズ/イーエン・トーマス組は、不運にもパンクの際に工具にトラブルが発生し交換できず、パンクしたままサービスまで走り、大きく順位を落とした。
一方、18号車 ユハ・サロ/ミカ・ステンベルグ組は、ハイスピードでの持ち前の速さとテインGr.Nダンパーの相性がぴったり合い、SS3、5の南江ではトップタイムをマーク、レグ1を総合1位で終えた。
そして、SS5では15号車 鎌田卓麻/市野諮組にまたも不運が襲った。フロントデフが突如壊れた、、、。
ステージ中で4WD の車が2WDになってしまっては、さすがの鎌田選手とてタイムは出せない。最終サービスでの交換までは成す術が無い。
9月24日(日) レグ2&ゴール
今日のスペシャルステージは、SS6、8の四中路口(15.67km)とSS7、9の両路口(16.78km)を2回づつアタックする、各国の国内選手権ではよくあるスタイル。
ステージは、昨日と打って変わってツイスティーなパートとなり、ターンインでの確実なフロントグリップとコーナー立ち上がりでの安定したトラクションが求められる。テインGr.Nダンパーは、ハイスピード、ジャンプのランディングは勿論、このようなツイスティーな所の走りも両立している。
そして、昨日パンクに泣いた17号車 デビッド・ヒギンズ/イーエン・トーマス組は、SS6、7で連続トップタイムをマーク。少しでも順位を上げるべく果敢にアタックしたのだが、最終SSでトランスミッショントラブルによりリタイヤした。また、同チームの25号車 林志穎/李佳組も、フロントのロアアームを壊し残念ながらリタイヤした。
15号車 鎌田卓麻/市野諮組は、SS6、7、8とトップ5のタイムを連発するが、昨日の最終サービスで交換したトランスミッションにトラブル発生、5位フィニッシュ。
尚、スバルチームチャイナの若手30号車李徴/鄭筅組は、度重なるパンクでの14位であった。
そして、レグ1の勢いをそのままキープした18号車 ユハ・サロ/ミカ・ステンベルグ組は、最後までステディーかつ果敢に攻め続け、最終SSでもトップタイムをマークし、テインGr.Nダンパーを勝利へと導いてくれた。
ようやく勝てたCT9A用Gr.Nダンパー、ここまでにどれだけ苦渋の冷や汗が流されたかは、テインのみぞ知る。
次回は11月下旬のアジパシ(Asia Pacific Rally Championship)併催の龍游である。乞うご期待。 |